大学最初の学園祭。今まで共学だった私は初めての女子大の学園祭に緊張していた。
お菓子サークルに所属しており、今回のテーマが『和』であるため和菓子カフェをやることとなった。

ケーキプレート
ケーキプレート

お客さんの殆どが女性で、男性もいるのだが数える程度だった。

「やっぱりお菓子って女の子の好きなカテゴリーだよね」
お客さんの波が一段落したころに友達の恵が話しかけてきた。
「まぁね~」 お客さんを見送りつつ相槌を打つ。

「私休憩入るね」 恵が着替えに行ったので、私も向かおうとした。

そこへ 「あのー、まだやっていますか?」
パーカーを着た二十代くらいの男性が心配したような表情で聞いてきた。

「はい。大丈夫ですよ」
席を見まわし一番奥の窓側の席に案内する。

男性は席に着くと真剣な眼差しでメニューを見る。時折掻き上げる髪がさらさらっと目にかかっていた。

「チョコ抹茶パフェで」
パフェが運ばれてくるとチョコソースのかかったバニラアイスと抹茶スポンジを口に運ぶ。

「ん、うまい」
男性は目をぱちぱちさせた。

「このスポンジってだれが作っているんですか?」
質問と同時に彼の目が私を捕えた。よく見るとぱっちりの二重でどこか幼さを感じさせる。

「えっと、サークルのみんなで作りました」
子供のような眼差しに気を取られていた私は慌てて答えた。

「柔らかくて美味しいです。俺、甘党だからこういうお菓子大好き」
一口食べる毎に、目を閉じる。まるで甘さが体に染み込むのを感じているかのようだ。

「ごちそうさまでした。」
会計を終えた男性を見送った私は休憩室に向かおうとした。

「あの」 先ほどの男性が走って戻ってきた。

「お忘れ物ですか?」
私の質問に男性は横に首を振った。そして呼吸を整えると真剣な顔をした。
「 いきなりこんなことを言ったら驚くかもだけど、今度俺と甘いもの食べに行きませんか?」

突然の言葉に驚きつつコクンと首を縦に振ると

「よかったぁ~」

と男性はまだ幼さの残る顔で笑った。

 

ライターgenho