付き合って5年の彼氏からは未だにプロポーズもなし。
同棲もなし崩しで、私の家にころがり込んでくる、どうしようもない彼。

結婚情報誌を机の上に置いておくと、いつもはやらない家事を手伝ってゴマすりをしてくる。

海辺の散歩
海辺の散歩

私の仕事の方は順調だけど、これからずっと彼と付き合っていく自信もないし、30前には結婚したい。
そんなモヤモヤした気持ちの中、タイミング良く友達からの合コンの誘いに、つい乗ってしまう。

彼のことは嫌いではないけど、誠実な人との結婚もあこがれてしまう。
このまま年を重ねるのも怖いし…と頭の中で言い訳をしながら合コンに参加。

彼には仕事で遅くなると伝えているし、どうせテレビでも見てごろごろしているはずだから気にしない。

合コンは盛り上がり、かっこよくはないけど誠実そうな人と連絡先も交換してきた。

このまま彼とは別れて新しい生活を始めようと決意しながら、暗くなった道を歩いていると電柱の傍に彼の姿が。

「どうしたの?たばこでも買いに行くの?」

「…待ってた」「え?」

「なんか、嫌な予感がして……俺は、だらしない男だし、捨てたくなるのもわかるけど……ずっと傍にいてほしい」

しばらくもじもじとしていた手からはおもちゃの指輪が。
どうせパチンコ何かの景品だろうと思う。

だけど彼のこの情けないプロポーズが何よりうれしいのはどうしてだろうか。

「手、貸せ」

おぼつかない手つきで、ごそごそと左手の薬指に安っぽい指輪がはめられる。

「これ、ずっとつけといてくれ」

恥ずかしくなったのか、ぶっきらぼうに言うと、そっと頬にキスをしてくれた。

 

ライター荷造子